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【ブリリアントクラブ】犬丸徹郎氏「一流を知る人が語る『本物』とは何か」を実施しました

2017.07.28

7月15日(土)に当協会セミナールームにて、株式会社和光取締役執行役員、元帝国ホテル副総支配人の犬丸徹郎氏をお迎えして「一流を知る人が語る『本物』とは何か」と題した講演会を開催いたしました。

申込開始から早々に満席となりキャンセル待ちが出るほど好評で、犬丸様のお話への期待の高さが窺えました。 概要をレポートいたしますので、参加できなかった方にもご覧いただけましたら幸いです。

犬丸徹郎氏1

自然にマナーとサービスを体得した幼少期

「生まれた時から周りの世界がホテルだったんですよ」

犬丸氏は祖父(徹三氏)・父(一郎氏)・ご本人の三代に渡り、帝国ホテルで働き、叔父(二郎氏)も芝パークホテルの社長というホテル一家に生まれ育ちました。すでに5~6歳の頃には、ホテルに食事に行く時はジャケットを着用するものと思っていたそうです。テーブルマナーも学んだものではなく、周りの大人を見て、何に気をつけたらいいか意識していらしたそうです。

「マナーの本質は何かというと、他の人に迷惑をかけないこと、他の人から見てきれいに見える食べ方をすればいい。プロトコールだって同じです。お互いを尊重し、相手からよく見えるように心がける。それらをはき違えると、本質を見逃してしまいます」

音楽好きのお父様のもとには日頃から多くの来客があり、ゲストをお迎えするのも子どもの役割の1つでした。挨拶する、スリッパを揃える、飲み物を伺うといった経験から、サービスすることを自然に身につけられました。

一流を知りファッションに目覚めたヨーロッパ留学

「一流の人には一流の人が集う、ということを実感しました」

慶應義塾大学卒業後、スイスのローザンヌホテルスクールに留学した犬丸氏は住み込みをしていた「ホテル・ボー・リバージュ・パレス」総支配人のシュニーダー氏をはじめ、そこに宿泊するゲストの振る舞いから、日本では味わえない贅沢な遊び方を目の当たりにされました。また、ホテルスクールの同級生の着こなしから、ヨーロッパファッションの伝統にも触れました。

その後、フランスに移ると、日本人初のパリコレ・モデル松本弘子さんが身元引受人となりました。松本さんのもとには森英恵さんやイッセイ・ミヤケさんといった才能あふれるファッション業界人をはじめ、トップクラスの著名人が集まっていらしたそうです。

犬丸徹郎氏2

「おしゃれにはこだわりが大事。こだわりがないと、本物は消える」

ヨーロッパで知り合った人々の着こなしには、単に服を着るというだけではないこだわりがあり、例えばワイシャツはもともと下着なのでワイシャツの下には何も着ない、紺色の服地は質の良し悪しが一目でわかるので良いものを選ぶといったことなどで、それがヨーロッパで学んだ”ファッション哲学”だったそうです。

大事なことは、どれだけ引き出しを持てるかということ

フランスから帰国後、横浜のホテルニューグランドで働いた時、新しいホテルを作るプロジェクトに参加されました。そこで影響を受けたのがフランス人建築デザイナーのローション氏でした。

「ローションさんは、仕事が早くて正確。それは、新しいホテルのインテリアの色・素材といった理想をすでに自分の中で確立していたからなんです。その理想がどこから来るのかと聞くと『いいものを見ないとインテリアにはつながらない』と、美術館に行くんですね。豊富な知識と経験、彼が選ぶ基準にはすべて裏付けされたこだわりがありました」

それは、ホテルマンにも通じることだと犬丸氏は語ります。

「ホテルマンは総合商社、と僕は言っています。私がお客様から受ける質問のうち、ホテルに関するものは30%くらいです。それ以外は、紹介やアレンジメントなど他のこと。しかし、専門外だから…と言って自分が知らなければ、お客様にいいものは薦められない。引き出しをどれだけ持っているかが大切です」

サービスとは、お客様にどれだけの技能で応えるのかではなく、お客様に素敵な空間の中でフォローアップすることと言い切る犬丸氏。

「いかにこだわり、知識を刷り込ませ、一流と出会う事、接点を深く持てば本物に出会える。そのためには、本物かどうかわかるための引き出しの数が大事です」という言葉が印象的でした。

ファミリーは一つのユニット

「引き出しを増やすには、個人でするよりも多くの人を巻き込む方が有効です」犬丸氏が日本の社会を見て残念に思うのは、家族をうまく活用できていないことで、自分が知らないことでも、家族のメンバーが人脈を持っていることがあるとおっしゃっていました。

「ファミリーを一つのユニットと考えたら、さらにネットワークが広がります」

普通の日本人ではなかなか思いつかない、幼いころから西洋の社交を知り、実感された犬丸氏ならではの発想ではないでしょうか。

犬丸徹郎氏3

講演後、質疑応答でこんな質問がありました。

「お客様へのサービスとはニーズの一歩先に出ることなのでしょうか?どこにゴールを持っていけばいいのでしょうか」

質問に対する犬丸氏の回答は、「お客様が10人いれば、10通りのサービスがある。オールマイティーはリピートされません。そのバランスをどう追い求めるかが大事なのではないでしょうか」というものでした。効率化を追い求めて、つい全方向に通じる対応をしがちですが、それでは個々の満足度は上がりません。

マナーの本質、サービスの本質とは形骸化したものではなく、相手にとって何がベストか、そのベストをつかむためにはたくさんの”引き出し”持つことの大事さを再認識した講演でした。

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