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実践ブラッシュアップ講座「プロトコール」を開講しました

2013.09.25

9月21日当協会セミナールームにて、当協会理事で元外務省儀典企画官の寺西千代子先生による実践ブラッシュアップ講座「プロトコール」講座を開講しました。寺西先生のお話は、今年3月のブリリアントクラブイベント以来でしたが、今回は3時間にわたる実践ブラッシュアップ講座ということで、また違ったお話をうかがうことができました。

寺西先生は、毎年夏はローマで過ごされるそうですが、今年の夏はローマも日本同様の猛暑だったため、ロンドンへ避暑に出かけられたそうです。ロンドンでは、この講座のために新たにプロトコールの書籍が出版されていないかなど調べて下さったのですが、エティケットやプロトコールについてのレファレンス(参考書籍)は相変わらず少なかったそうです。先生は、エティケットやプロトコールは決まったルールであり、数年で変化することはめったにないため著作も増えないとおっしゃってましたので、世界的な視野で見ると毎年多くのマナー本が出版されている日本の状況が異常といえそうです。

さて、本講座のサブタイトルは『ここが知りたい「ミニマム10」』。書籍を探しているうちに、意外と「ここが知りたい」というミニマム(最低限)を押さえた本がないことに気づき、この講座のためにご自身でまとめてみようと思い立ったそうです。3時間の講座では、「プロトコールの基本」「エティケットの基本精神」「在外生活を快適にする」「招待された時の心得」「ドレス・コードについて」それぞれ最重要ポイントを10個選んで、ご自身のご経験を踏まえてご説明くださいました。

プロトコール講座

まずは、プロトコールという言葉についてご説明いただきました。プロトコールは、辞書を引くと「儀礼、典礼」の他に「条約」「協定」「議定書」「(データ通信規則としての)プロトコル」などの意味がありますが、もともとは古代ギリシアで「真正」であることを示すために公文書に貼られたものを指していたそうです。それが、交流の規則→公の営みに関する規則、と変化して現在の用法となっているようです。「公」が1つのキーワードと言えましょう。

それから、5つのミニマム10について、ヨーロッパ各国の違いや最近の世界情勢のお話なども交えながらご説明いただきました。興味深いお話ばかりでしたが、敬称(His Excellencyなど)にうるさいのはイギリスで、国旗の扱いについて細かい規則があるのはアメリカであるといったこと、また、グローバル社会になって宗教と地域の慣習のどちらを優先すべきかという難しい問題が起こっているといったトピックは、受講生の皆さんも特に惹きつけられていたようです。

ドレスコードの項では、ウィリアム王子とキャサリン妃、オバマ大統領らの写真をスライドで見せていただきましたが、それに加えて「ドレス・コードがよく分からない場合は主催者の秘書に聞くとよい」「招待状にドレス・コードの記載がなければ平服でよい」「ポケットに手を入れたまま人と話すのは原則として失礼な行為である」といった具体的な解説、注意もこれから役立てていきたいです。

私がいちばん「なるほど」と思ったポイントは「価値観は多様であることを認識し、独りよがりはしない(他人に自分の価値観を押し付けない)」というお話でした。そこでは、先生が外国の家庭にお世話になる際、お土産に持っていった高級カステラが数日後そのままゴミ箱に捨てられていたというエピソードが明かされました。そこで先生は、価値観が違えば、自分がいいと思ったものを相手が気に入るかどうかは分からない。いらないものはいらないのであって、感謝されなくても仕方ないと割りきらなければ、付き合いもいつか(不満がたまって)破綻するということを学ばれたそうです。

日本人は概してプレゼント好きなので、同じような経験をされてガッカリした方も多いのではないでしょうか。これは、プロトコールというよりは異文化コミュニケーションの範疇かと思いますが、肝に銘じておくべきことでしょう。

おそらく日本中探してもプロトコールの第一人者である寺西先生の講義を聞くことができる機会は本講座しかないと思います。今回、聞き逃した方はぜひ来年2月22日の講座にお越しください。

残念ながら、寺西先生のご著書は新品では手に入らなくなっています。

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