5月24日、2011年度のスクーリング新講座「食文化と食育コース」が開催されました。
講師はテレビでもおなじみの服部栄養専門学校校長 服部幸應先生です。講座は、服部栄養専門学校の教室を会場にお借りして実施いたしました。この教室、様々な角度で講師を映し出すモニターがたくさんあって、テレビ局のスタジオのようになっています。いつものスクーリング講座とはちょっと違った雰囲気です。
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服部先生はテレビの料理番組に出演されている「グルメのおじさん」(先生談)の印象が強いかと思います。実は、私もそんな一人だったのですが、今回の講座を拝聴して、先生が医学的な見地から「日本の食の危機」を深く危惧されていたこと、そして、ずっとそのことについて警鐘を鳴らし、様々な活動を通じて「食育」という言葉を世の中に浸透させ、食育基本法という法律の制定にまでこぎつけられた経緯を初めて知って、日本人として、一人の親としてその思いの深さに心を打たれました。

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さて、今回のお話を大きく分けると以下の3つになろうかと思います。
・食育基本法制定までの経緯
・食育とは「選食(何を食べたらよいか)」「衣食住の伝承」「食糧・環境問題(sustainability)」
・食文化とマナー

各項目について内容を簡単にご紹介しましょう。

・食育基本法制定までの経緯
2005年に食育基本法が制定されましたが、立法化までには非常に長い時間がかかっていました。実は「食育」というコンセプトについて、国としてその意義を認め推進していくことを決めた功労者は、小泉純一郎元首相でした。そのきっかけは、厚生省の委員をなさっていた服部先生が当時の厚生大臣であった小泉氏に食育の崩れが知育、体育に悪影響を与えていることなどを説明し、その重要性を感じた小泉氏の指示の下、食育調査会等を通して研究が進められ2005年小泉政権での法案成立に至ったそうです。

法案制定後は、2006年から5ヵ年計画の「食育推進会議」がスタートし、今年度から小学校ので、来年度には中学校の授業で「食育」が導入されます。今後は「食育って何?」と子どもに聞かれるシーンが増えてくるのではないでしょうか。
そう言われたとき、あなたは食育について説明できますか? 
正解は、食育とは「生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきもの」です。その内容は以下に続きます。

・食育とは
1. 選食(何を食べたらよいか)
私たちの身の回りに溢れている食材から安心・安全なものを選び取るチカラを養うことが「選食」です。
日本の食料自給率は世界でも最低レベルの40%。2011年は東日本大震災の影響でさらに1%程度下がることが見込まれるそうです。そして、東京に至っては、自給率がわずか1%しかありません。ですから、私たちは国内外から運び込まれる様々な食材から「自分の身を守る」観点で安心、安全なものを選んでいかなければなりません。

例としてあげられたのが、コンビニ弁当に代表される調理済加工食品。これらはカルシウム、マグネシウムなどの含有量が少なく、調理済加工食品中心の食生活は神経に悪影響を与える懸念があるそうです。お子様のいる家庭では「20才までの食生活は親の責任」として"選食"を真剣に考えていただきたいと強調されていました。

2.衣食住の伝承
日本の家庭で失われた衣食住の文化を伝承することは、よく耳にする「昔の日本はこうではなかったのに...」「どうしてこんな国になってしまったんだろう」という声への反省、自戒として、これから改めてやっていけなければならない課題といえます。家族という生活単位が崩壊し、夕食を家族で食べる家庭が約51%という「孤食」社会は、子どもの成長に深刻な影響を与えます。

人間は、3才から8才までの時期に動物脳と言われる小脳が完成されます。その時期には、可能な限り家族が一緒に食事を取るようにして、食事もテレビを見ながらではなく家族の会話を大切にしましょう。

3.食糧・環境問題(sustainability)
食料・環境問題について考え、真剣に取り組むこと。資源が少ない日本にとっては喫緊の課題です。
先に述べたとおり、日本の食料自給率はわずか40%、諸外国の数字を見るとアメリカ124%、フランス111%、ドイツ80%、イギリス65%となっており、いかに日本が突出して低いかが分かります。
そして、今まではお金を出せば途上国から食糧を買うことができましたが、近年、多くの途上国では人口増加に伴い食糧輸出の余裕はなくなってきています。そのため今までのような価格で日本が食糧を輸入し続けられるか、見通しは明るくありません。政治や生産者だけの問題と捉えるのではなく、消費者も食糧・環境問題を真剣に考え、持続可能な社会づくりを目指しましょう。

・食文化とマナー
フランス食文化騎士称号もお持ちの服部先生ですが、フランスの方と話していて「エリートとは何か...その第一は食べ方である」と言われたエピソードを紹介されていました。動物にはマナーはありません。つまり、人間が人間たる証拠の1つであると言っても過言ではありません。
歴史的な経緯から現在も「階級」がいろいろなところに存在するヨーロッパ。食べ方で品格を判断されてしまうことも現実にあるようです。和食、洋食に関わらず、恥ずかしくない食べ方を日頃から実践しましょう。
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私たちの身体を作るため、そして生きるために欠かせない食事ですが、毎食みなさんは誰と、どこで、何を食べていますか?
何かと簡単な食事で済ませてしまいがちですが、本来食事とは家族や仲間と共にする、楽しいコミュニケーションの場です。笑いながら食卓を囲み、時には躾(しつけ)の場ともなります。自分が幼い頃の食事の風景を少しでも家族や仲間と再現できたらいいですね。