ビジネスレターを書く際に注意しなければならないことは、ビジネスレターと個人的な手紙では内容も体裁もまったく違うことです。
自己流の書き方ではビジネス文書として通用しないばかりか、所属する法人・団体の品位を下げることにもなりかねません。お客様との良い関係を保つために手紙の内容にそって、正確かつ簡潔に、礼を失することなく文章をまとめることが重要です。
(1) ビジネスレターの書き方
書き出す前から推敲まで、手紙には次のような過程が考えられます。
・構想をたてる…要点を書き出し、伝えたい内容の順番を決める。
・それぞれの要点にそって、情報の収集をする。
・伝えたい内容ごとに1つのパラグラフ(段落)にまとめる。
※1つのパラグラフに1つの内容が基本
・推敲する。(
下記のポイントに留意し推敲します)
情報が正確かどうか
内容に一貫性があるかどうか
表現が簡潔かどうか
レイアウトが適切か
文法やスペリングに間違いがないかどうか
(2) ビジネスレターのスタイルと構成
日本語の手紙では、例えば「拝啓」で書き始め、「敬具」で結ぶ決まりがありますが、英語の手紙にも同じような決まりがあります。次に手紙の例を挙げ、実際の手紙がどのようになっているのか見てみましょう。 手紙は主に次の6項目から構成されています。
A.ヘディング(頭書:heading)
B.インサイド・アドレス(inside address)
C.サリュテーション(礼辞:salutation)
D.本文(body of letter)
E.コンプリメンタリー・クローズ(結辞:complimentary close)
F.サイン(署名:signature)
A.ヘディング(頭書:heading)
発信者の会社名・住所・日付を記します。ほとんどの会社では専用のレターヘッドの入った便箋を使用しますので、会社名や住所を記す必要はありません。
レターヘッドのない便箋の場合は、発信者の住所は便箋の右肩に入れます。英語で住所を書く時は、狭い地域から広い地域へと記していきます。
日付
都市(区名)
都道府県名 郵便番号
国名
日付
|
4-5-10 Kohjimachi
Chiyoda-ku
Tokyo 102-0083
Japan
1 December 2005 |
日付を必ず住所の後に入れます。ただし1/11/05のように数字だけで記すと、イギリス式では2005年11月1日となり、アメリカ式では2005年1月11日を表すことになるので、月名は必ずスペルアウトして下さい。
●2005年11月1日の表わし方
1 November 2005(イギリス式)
November 1, 2005(アメリカ式)
・「Nov.」や「05」などの省略形はなるべく避けます。
・イギリス式では月名の後にカンマは打ちません。
・日付の数字にst, nd, rd, th などは付けません。
B.インサイド・アドレス(inside address)
受取人の氏名・肩書・会社名・住所を記します。
通常ビジネスレターの封筒は保管しないので、便箋に宛先を明記します。この宛先をインサイド・アドレスと言います。このアドレスによって手紙はその会社のある部署から特定の人物へ届くのです。またこのアドレスは封筒の宛名と一致していなければなりません。
Mr. Oswald Backer
Director Sightseeing Division
ABC City
California State,
2000 U.S.A
|
住所
受取人の肩書、部署名
会社名
住所
|
●職務上の名称
社長
副社長
専務取締役
常務取締役
部長
課長
秘書
経理・会計
|
president
vice-president
chief director
executive director
manager or general manager
chief of section or director(官公庁)
secretary
treasure |
※必ず職業上の名称の前にコンマ(,)を付けます。
ダニエル・リチャード → Mr. Daniel Richard, President
C.サリュテーション(礼辞:salutation)
書き出しの挨拶の言葉です。日本語での「拝啓」がこれにあたります。手紙の種類によって使用する表現も変わってきます。
サリュテーションはインサイド・アドレスの下に1行あけて左寄せで始めます。通常名前の前にDearを付けます。コンマやピリオドなどの句読点を付けないものをオープン・パンクチュエーション、付けるものをクローズド・パンクチュエーションと呼びます。
Dear Mr Morris
Dear Mr. Morris,
Dear Mr. Morris:
|
(オープン・パンクチュエーション)
(クローズド・パンクチュエーション)
→イギリス式
(クローズド・パンクチュエーション)
→アメリカ式 |
またダイレクトメールのように何万通何千通も発送するビジネスレターでは、受取人が不特定ですので、次のような書き方にします。
Dear Customer(お客様各位) Dear Reader(読者各位)
受取人の名前が分からない時のサリュテーションは性・数に応じて次のようなフォーマルな表現があります。
男性
女性
男女
|
単数の場合
Dear
Dear Madam
|
複数の場合
SirDear Sirs(イギリス)
Gentlemen(アメリカ)
Ladies
Mesdames |
Dear Sir or Madam |
Ladies and Gentlemen |
D.本文(body of letter)
内容を記します。便箋で何枚もあるものから、わずか数行で終わってしまうものまで様々です。
手紙のスタイルには「ブロック・スタイル」と「インデント・スタイル」の2種類があります。
ブロック・スタイルの場合、左寄せに文章を書き始めます。段落と段落の間は1行あけるようにします。インデント・スタイルの場合は、5字分下げてから文章を書き始めます。インサイド・アドレス,サリュテーション、コンプリメンタリー・クローズ、サインの位置も変わってきますので注意してください。
E.コンプリメンタリー・クローズ(結辞:complimentary close)
結びの挨拶の言葉です。日本語の「敬具」などがこれにあたります。その手紙のサリュテーションに合わせて書きます。フォーマルなサリュテーションにはフォーマルなコンプリメンタリー・クローズが必要です。
また法人関係によってはスタイルやサリュテーションとともにどの表現を使うのか決めているところもあります。イメージに統一感を持たせるためです。
■フォーマルな場合(Gentlemen/Dear Madam などで始まる時)
Yours very truly,
Very truly yours,
Very sincerely yours,
Very cordially yours,
Respectfully yours,
Yours respectfully,
■セミフォーマルな場合(Dear Mr. ○やDear Ms.○などで始まる時)
Sincerely yours,
Yours sincerely,
Cordially yours,
F.サイン(署名:signature)
最後にサインをします。サインの下には名前がはっきりと分かるようにタイプ文字かブロック体でもう一度記します。手書きのサインのスペースとしては4行程あけるとよいでしょう。部署名や役職名を添えたほうが親切です。
社名を入れる場合、部署名・役職名の後に入れることもできますし、コンプリメンタリー・クローズの直後に入れることもできます。女性の場合はタイプした名前の前に()を付けた敬称を入れることが多いようです。男性の場合名前の前にMr. を付けてもかまいませんが、あまり一般的ではありません。
手書きサインの場合は前には何も付けません
・整理番号などを注記として入れることもあります。
・追記の場合、P.S(追伸:postscript)として署名の前に入れます。
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