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 国や民族には、それぞれ独自の伝統や風俗・文化や習慣があります。外国からのお客様を接遇する時は、そうした多様性を十分理解していないと、予想外のトラブルが起こったり、お客様に不快な思いをさせてしまうことにもなりかねません。
 外国のお客様に出来る限り快適な時間を過ごしていただくためには、相手の国の文化的な背景や宗教上の約束事などを十分に考慮し、違いは違いとして尊重した上で、思いやりのあるサービスや気配りを心がけることが必要です。
 
   

(1) アメリカ
 「人種のるつぼ」と言われるアメリカには、様々な人種、民族が異なった背景を持って生活しています。人種問題も深刻な分だけ、人種差別や人権について非常に敏感です。法律的にも少数民族や有色人種、女性、障害者といったマイノリティに対する保護を積極的に進めています。
 また、個人を尊重する国民性のため、自分の意思や主張がはっきりしているのも特徴です。
 根拠のない人種的偏見を口に出したり、プライバシーを侵害するような言動はくれぐれも慎むようにしましょう。

(2) イギリス
 マナーやエチケットを重視する国民性から、穏やかで紳士的な人が多いようですが、反面過度の干渉を好まないといったクールな面も見受けられます。日本的な礼儀・作法とも通じるところがあるので、基本的には相手の立場を尊重して思いやりを持って接すれば問題はないでしょう。

(3) フランス
 自国の言語や文化にプライドを持っています。かなりはっきりとした資格社会、学歴社会の国で、貴族の出身や超エリートも多くいますが、実生活では無駄を嫌い、堅実な面が見られます。
 個人主義が徹底しているので、旅行などでも、日本人のように団体で行動するようなことは好まず、独自のペースで楽しむ傾向が強いようです。

(4) ドイツ
 日本人と共通点が多いと言われるように、親切で勤勉、そして時間に正確です。素朴で経済観念が発達しているなど、質実剛健で堅実な面もあります。

(5) 韓国
 儒教思想が根強く、民族としての誇りを非常に大切にしています。社会的地位や年齢の差、性別などが人間関係においては重要なファクターとなります。
 過去の日韓の歴史的経緯から、日本人に対して複雑な思いを抱いている人が多いのも事実です。が、最近は文化交流を通じて対日感情に変化が見られるようになりました。控えめな態度は美徳とはされず、思ったことははっきり言うので戸惑うこともありますが、反面、親切で情に厚く、自分を犠牲にしても他人に尽くすといった面もあります。

(6) 中国
 世界最古の文明と4000年の歴史を持つ中国では、地縁や血縁を重んじる傾向が強く、自分の所属する集団への帰属意識が強いのが特徴です。相互扶助の精神も行き届いており、仲間に対しては苦労をいとわず、親身になって世話をやいてくれます。
 中国では、「礼儀」、「寛大」、「信義」、「勤勉」、「親切」の五徳が最大の美徳とされてきましたが、最近では資本経済の浸透により国民性にも変化が見受けられるようです。

(7) インドネシア
 国民の大多数であるイスラム教徒は、豚肉は食べない、1日5回は礼拝を行なう、アルコールは飲まない、などの宗教的慣習を守っています。しかし、国全体としては、それほど戒律に厳しいというわけではありません。一般には明るく陽気な国民性で、年長者には敬意を示す習慣が徹底しています。

(8) インド
 カースト制度が社会組織や責任の所在に深く関わっていて、集団主義的な文化背景を持つために親戚、近所づきあいなどの人間関係を大切にします。血縁以外の人間に対する思いやりも強く、包容力があります。
インドでは種々な民族と言語に加え、ヒンズー教やイスラム教、キリスト教など多様な宗教が存在し、習慣も多岐にわたっています。

(9) フィリピン
 国民の8割以上がカトリック教徒で、昔ながらの信仰心も厚く、“フィリピノ・ホスピタリティ”という言葉があるほど、他人との円滑な人間関係を大切にします。誰にでも極めて親切で、笑みを絶やさず、日本人と同様「義理」や「恩」といった感情ももっています。

(10) ロシア
 概して忍耐強く根気強い国民性ですが、性格は陽気で、音楽やダンスを愛し家族や仲間と楽しむことが好きです。細かいことにはあまりこだわらないのでおおざっぱに感じられることもあるかもしれませんが、日本人が思っている以上に日本に親近感を抱いている人が多いようです。

(11) オーストラリア
 雄大な自然と穏やかな気候に恵まれたオーストラリアの人々は、友好的で親しみやすい国民性です。階級制度を嫌い、職業や身分にとらわれず、小さなことにはこだわらないおおらかさを持っています。

(12) ニュージーランド
 平等主義に根ざしており、質素で健康的な生活を信条としています。友好的で大変親切ですが、控え目ではにかんだり、はた目を気づかう傾向があります。

   
     タブーは、どこの国・民族、宗教にも存在します。異なった風俗・習慣は各文化圏の産物であり、財産でもあるのです。
 下記は各国の特徴的なタブー例ですが、必ずしもすべての人が同じタブーをもっているとは限りません。
 事前にお客様の出身地や背景にあるタブーについて調査しておいて、失礼のないように対応するのも一案でしょう。

(1) アメリカ

・宗教、人種の問題に軽率に触れることは避けましょう。
・手の甲を相手側に向けて中指を立てるジェスチャーはセックスを意味し、相手に対して大変な侮辱になります。
・気軽に女性の身体に触れることは慎むべきです。基本的人権が厳しく守られ、フェミニズムが浸透しつつあるアメリカは、日本的感覚では冗談ですむようなことも間違いなくセクシャルハラスメントと見なされます。
・相手のプライバシーに立ち入ったり、女性に対して年齢や既婚か未婚か、子供がいるかなどを聞くことは失礼になります。

(2) イギリス

・イギリスは、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド出身者の複合民族国家(Britain。そしてイギリス人はBrithish)です。相手の出身地を気にせずに、「English」などとひとくくりにすると、無神経な人だと思われたり、相手のプライドを傷つける場合があります。

(3) ドイツ
・戦争について話すのはタブーです。ことにナチスやヒットラーに関する発言は厳禁。また、大気汚染などの環境問題に対し、日本人よりはるかに敏感です。
・赤い薔薇は愛の告白を意味するので、気軽にプレゼントしないようにしましょう。

(4) フランス
・フランス革命は、下層階級が貴族社会を打ち倒した歴史的意義を持っているので、上流階級出身者に対して、フランス革命の話しは禁物です。

(5) カナダ
・環境保護や動物愛護の精神が高いので、捕鯨などの話題には注意が必要です。
・生活面での規則が比較的厳しい国なので、屋外の公共の場所での飲酒や喫煙に敏感な人が多いようです。

(6) シンガポール
・白・青・黒は祝い事の席では避ける色になっています。また、お祝いのプレゼントして、花、ナイフ、置時計を贈るのやめましょう。

(7) 韓国
・日本と同様に、数字の「4」は死を表わすので不吉とされています。
・年齢、男女差、上下関係などを意識して行動する必要があります。特に、目上の人の前で煙草を吸うのはやめましょう。
・韓国を「朝鮮」と呼んだり、共産主義を支持するような発言は慎みましょう。

(8) インドネシア
・左手で握手したり、物を渡すのはタブーです。
・大声で話すのはマナー違反です。
・ギャンブルはご法度です。

(9) ネパール
・子供の頭の上には神が宿るとされているので、頭に手をおいたり、なでてはいけません。

(10) フィンランド
・人を指で指してはいけません。

(11) ギリシャ
・日本式のお金を表わすサイン(親指を人差し指で輪をつくる)は「同性愛」を意味するので注意が必要です。
・5本または10本の指を大きく開いて前に突き出すと、「地獄へ落ちろ」という意味になるので気をつけましょう。
   
     食に関するタブーは、どこの国・民族、宗教にも存在します。異なった食生活の習慣は各文化圏の産物であり、財産でもあるのです。
 下記は各国の特徴的な食事方の例ですが、必ずしもすべての人が同じ習慣だとは限りません。
 事前にお客様へ食生活について質問し、失礼のないように対応するのも一案でしょう。

(1) ドイツ

・じゃがいもは、丸茹をフォークの背で潰してマッシュポテト状で食べます。
・サラダは、皿の上で食べやすい大きさに切って食べます。

(2) フランス
・じゃがいもは、ナイフで小さく切って食べます。
・サラダは、フォークにからめて食べます。
・食事中は両手をテーブルの上に出しておきます。
・食事には必ずワインが出ますが、飲めない場合はグラスを逆さまにして置きます。

(3) 中国

・決してホストより先に飲んだり食べたりしてはいけません。
・品数がたくさん出されるので、最初から食べ過ぎないようにしましょう。
・料理を全部食べてしまうのはホストが十分にもてなしていないことを意味し、失礼にあたりますが、たくさん料理を残すのも失礼になります。
・箸を落とすのは縁起が悪いとされています。
・一般に女性はアルコール類を飲みません。

(4) 韓国
・箸とさじで食事をします。
・器を持ち上げることなく右手で食べます。
・箸はテーブルの上か箸置きに置き、茶碗の上に平行に並べると不吉とされます。
・盛り皿から取った料理をそのまま口に運ばず、一度自分の皿に取り置いてから食べます。
・食事中は自分の皿の上の料理を全て食べてしまわないこと。
   
     国際交流においては、言語の違いを乗り越える大切な補助手段として、ジェスチャーやボディランゲージの果たす役割は非常に大きなものといえます。日本人は、一般的に身振り、手振りを使っての表現が得意ではありませんが、欧米の人達は、大袈裟とも思えるほど起用に、そして効果的にボディランゲージを用いて表現力を高めています。
 ボディランゲージは世界的に共通するものがありますが、国や民族によって特徴的なものもかなりありますので、基礎的な知識を知っておくと良いでしょう。

(1) アメリカ
 会話にジェスチャーはつきものです。感情表現が豊かな国民ですから、ジェスチャーも大胆なものが見受けられます。
・気軽にウインクをして、挨拶やちょっとした気持ちの伝達を行います。日本人が考えるような「色目」的な意味合いはありません。
・自分を指す時は、親指で胸を指すか、あるいは軽く手を胸に当てます。
・人に向かって中指を突き立てるアクションはセックスを意味し、失礼に当たります。

(2) イギリス
 ジェスチャーはふんだんに使いますが、アメリカ人に比べると比較的地味な表現です。挨拶の時や話をする時に相手の目を見ること(アイコンタクト)は、重要なボディランゲージのひとつです。
・親指を中指の先でパチンとはじいて鳴らすしぐさは、軽蔑、無関心、無視、冷笑などを意味します。
・両手を上に向けてひねり、肩をすぼめる動作は、「わかりません」「知りません」の意味です。
・イギリスやアメリカなど英語圏のボディランゲージには、共通するものが多く、上にあげた具体例は英語圏全般のものと考えてもいいでしょう。

(3) 台湾
 会話中によくジェスチャーを使います。
・親指をぐっと突き出すしぐさは、自身の表現です。
・感謝を表わす時は、掌をあわせて上下に振ります。

(4) イタリア
 ラテン系の人々はジェスチャーが多く「手で話す」と言われるほど身ぶり手ぶりを良く使います。実に陽気で悪気はありません。
・不機嫌そうな顔で顎の下で指先をすばやくこすりあわせ、前にパッと突き出すのは軽蔑や嘲笑を表わします。

(5) ブラジル
 ブラジル人はフレンドリーなので相手にかなり近づいて話したり、話の間中、手や腕、または肩などに触れてくることもあります。
・親指と人差し指で輪を作るOKサインは、ブラジル人にとってたいへん下品な意味になるので要注意です。

(6) 中国
 中国人は話す時に手を使わないので、あまり大げさな表情やジェスチャーはしないようにしましょう。
・知らない人に触れられるのを好まないので、年長者や地位の高い人と接する時には特に気をつけましょう。
・異性が人前で愛情表現をすることによい印象を持ちません。
・人や物を指す時は、指先を使わず、手を開いて指し示します。
・人を手招きする時は、手のひらを下に向け、指を自分のほうに振ります。
・爪をかんだり、歯にはさまったものを取る行為は嫌悪されます。

(7) インド
・頭は神の宿るところなので、絶対に触ってはいけません。子供の頭をなでることもしてはいけません。
・人を手招きする時は、手を前に伸ばし、手のひらを下向きにして指を手前に動かします。アメリカ人のように、手のひらを上向きにして指を1本だけ動かすしぐさは失礼な印象を与えます。
・肘を張って両手を腰に当てた姿勢は、けんか腰の態度です。
・人と話す時の距離は宗教や文化によって違いますが、ヒンズー教徒の場合は1メートルくらい離れる方がよいでしょう。
・人を指差すしぐさは失礼にあたるので、インド人は顎を使います。
・口笛を吹くことは、はしたないと思われています。
・ウインクは人を馬鹿にしているか、性的な誘いと解釈されます。
・インド人にとって耳は神聖なものなので、他人の耳をひっぱったり叩いたりしてはいけません。
・足は不浄とされているので、靴や足が他人に触れたら謝りましょう。

   
     
     
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